必要に迫られてローマ字入力にシフトチェンジしたこの2週間。「リフォーム」の壁にぶち当たったのを皮切りに「にゃにゅにょ」につまずき「ちっちゃいっ」にバカにされ、知恵熱でそうでした。
でも、少しなれてくると、なんだかコッチノ方が早い? そんなレベルの「IT職人」泉内装の親方です。
泉内装のホームページのトップ画像を見て「これ何?」と聞かれますが
刷毛です^^;
写真は京型ナイロンの8寸ですが、他にも羊毛や山羊毛や豚毛や猫毛…、あ、猫は無いですね。
ふつうクロス屋さんは硬~い馬毛ばかりで、こういう刷毛を知らない人もいます。たまに持っている人がいても「もったいないから約物の時(特別な材料)しか使わないよ。」なんて言うんですが…、それがもったいな~い!
実は自分も馬職人でした^^; 馬しか知らなかった。
でも、数年前に今の師匠に出会ってヒツジを薦めていただいたんです。その時の感動は今も忘れません。
「やわらか~!撫で付けかる~い!なんだか粋でかっちょい~!」
十年一日、完全に打ち止まりで伸び悩んでいた自分の「やるきスイッチ」がオンになり、仕事への情熱に再び火がつきましたよ!仕事が楽しくて、クロスを貼る事がこんなに楽しく思えるなんて、駆け出しの若造の頃以来でした。
さらにヒツジ効果はそれだけではありませんでした。しばらくしてヒツジに使い慣れてくると、なんと、ヒツジさんが耳元で囁きかけてくるようになったのです!
「なんか違う、いつもと違う、この糊は変だ、この糊はチカラがない、」
最初はかすかな囁きで首をかしげてましたが、今ではだいぶはっきりと聞き取れるようになってきました。
「この品番のクロスは変わったね、もう夏だからね。今日の糊は絶好調だね。かと思ったら貼り頃を過ぎちゃったよ、窓しめてよ。」
馬は寡黙で何もしゃべりませんが、ヒツジはとてもおしゃべりなんです。ちなみに梅雨時の湿気の多い今時分は最近買ったナイロン毛が軽くて絶好調です。
弟子のヒロさんは逆に馬を知らないんですが、たまに一緒になるクロス屋さんの馬を触らせてもらって、「うわ~、むり!わたしこれじゃ貼れない!」なんて生意気言ったりします^^;
泉内装にとって羊たちは、今となっては片時も手放せない大事な「センサー」の役割を果たしてくれています。季節によって、また材料によって糊の力を最大限にひきだす、馬を使い続けていたら一生手に入れられない感性なんです。
多くのクロス屋さんが「糊なんてたいして変わんねーよ。くっつきゃいいんじゃねー。」となるのは馬しか知らないからなんです。
ちなみに、師匠は東京の刷毛屋さんでブレンド毛を特注ですよ、一本数万円! 粋です。
うちのは3000円~5000円のお手頃価格^^;
でも馬職人は「たっかーい!」といいます。わたしにとっては費用対効果,コストぱふおーまんす(←まだ入力出来ない^^;)こんなに安い買い物はないんですけど^^;
思い込みを捨てて時には大胆にシフトチェンジしてみると今まで見えなかった世界が見えてくる!
かもよ、っていうお話でした。